**2008年1月改訂(第4版) *2007年6月改訂(第3版) ウイルスワクチン類 (17D-204株) 生物由来製品 劇薬 指定医薬品 処方せん医薬品注) 貯法:しゃ光して、5℃以下に保存 有効期間:1年(最終有効年月日は容器、外箱に表示) 日本標準商品分類番号 876313 承認番号13013KUY02968 薬価収載適 用 外 販売開始1955年3月 国際誕生1953年5月 注)注意−医師等の処方せんにより使用すること 【接種不適当者(予防接種を受けることが適当でない者)】 被接種者が次のいずれかに該当すると認められた場合には、接種 を行ってはならない。 (1)9か月齢未満の乳児(「副反応」および「小児等への接種」 の項参照) (2)明らかに免疫機能に異常のある疾患を有する者及び免疫抑 制をきたす治療を受けている者(「相互作用」の項参照) (3)明らかな発熱を呈している者 (4)重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな者 (5)本剤の成分によってアナフィラキシーを呈したことがある ことが明らかな者(「接種上の注意」の項参照) (6)上記に掲げる者のほか、予防接種を行うことが不適当な状 態にある者 【製法の概要及び組成・性状】 1.製法の概要 本剤は、黄熱ウイルス(17D−204株)をトリ白血病ウイルスに汚染されていないニワトリ胚で培養増殖後精製し、安定剤を加え凍結乾燥したものである。 2.組成 本剤を日本薬局方生理食塩液(「黄熱ワクチン溶解液」など)3mLで溶かした液の1回接種量0.5mL中の組成を示す。 3.性状 本剤は、弱毒生黄熱ウイルス(17D-204株)を含む凍結乾燥製剤であり、日本薬局方生理食塩液(「黄熱ワクチン溶解液」など)3mLを加えると淡い橙色のわずかに混濁した液剤となる。 pH:5.6〜7.6、浸透圧比(生理食塩液に対する比):約1 【効能・効果】 本剤は黄熱の予防に使用する。 【用法・用量】 本剤を日本薬局方生理食塩液(「黄熱ワクチン溶解液」など)3mLで溶解し、その0.5mLを1回皮下に注射する。 【接種上の注意】 1.接種要注意者(接種の判断を行うに際し、注意を要する者)被接種者が次のいずれかに該当すると認められる場合は、健康状態及び体質を勘案し、診察及び接種適否の判断を慎重に行い、予防接種の必要性、副反応、有用性について十分な説明を行い、同意を確実に得た上で、注意して接種すること。 成分          分量        有効成分   黄熱ウイルス   4.75log10PFU以上   (17D−204株) 安定剤   ブタ皮膚由来D-ソルビトール 7.5mg   ゼラチン          7.5mg PFU:PlaqueFormingUnit 用法及び用量に関する接種上の注意 1.接種後の免疫の賦与 本剤接種後の黄熱に対する免疫は接種10〜14日目以後に賦与される(「臨床成績」の項参照) 2.不活化ワクチン製剤との接種間隔 不活化ワクチンの接種を受けた者は、通常、6日以上間隔を置いて本剤を接種すること。 3.他の生ワクチン製剤との接種間隔他の生ワクチンの接種を受けた者は、通常、27日以上間隔を置いて本剤を接種すること(「相互作用」の項参照) 4.輸血及びガンマグロブリン製剤との接種間隔等輸血及びガンマグロブリン製剤の投与を受けた者は3〜6か月以上間隔を置いて本剤を接種すること。また、本剤接種後14日以内に輸血及びガンマグロブリン製剤の投与を受けた者は、3か月以上経過した後に本剤を再接種すること(「相互作用」の項参照) (1)心臓血管系疾患、腎臓疾患、肝臓疾患、血液疾患、発育障害等の基礎疾患を有する者 (2)予防接種で接種後2日以内に発熱のみられた者及び全身性発疹等のアレルギーを疑う症状を呈したことがある者 (3)過去にけいれんの既往のある者 (4)過去に免疫不全の診断がなされている者及び近親者に先天性免疫不全症の者がいる者 (5)妊婦又は妊娠している可能性のある婦人(「妊婦、産婦、授乳婦等への接種」の項参照) (6)高齢者(「高齢者への接種」の項参照) (7)ゼラチン含有製剤又はゼラチン含有の食品に対して、ショック、アナフィラキシー様症状(蕁麻疹、呼吸困難、口唇浮腫、喉頭浮腫等)等の過敏症の既往のある者 (8)本剤の成分又は鶏卵、鶏肉、その他鶏由来のものに対してアレルギーを呈するおそれのある者 2.重要な基本的注意 (1)本剤は「予防接種実施規則」及び「定期の予防接種実施要領」に準拠して使用すること。 (2)被接種者について、接種前に必ず問診、検温及び診察(視診、聴診等)によって健康状態を調べること。また、予防接種歴、本剤または他のワクチンに対する過敏症および副作用の既往歴を調べること。 (3)被接種者又はその保護者に、接種当日は過激な運動は避け、接種部位を清潔に保ち、また接種後の健康監視に留意し、局所の異常反応や体調の変化、さらに高熱、けいれん等の異常な症状を呈した場合には、速やかに医師の診察を受けるよう事前に知らせること。 (4)本剤のバイアルゴム栓には乾燥天然ラテックスゴムが含まれているためアレルギー反応を引き起こす可能性がある。天然ラテックスゴムに対するアレルギー反応既往歴等の 問診を十分に行い、接種後は観察を十分に行うこと。 (5)本剤は安定剤としてゼラチンを含有する。ゼラチン含有製剤の投与(接種)により、ショック、アナフィラキシー様症状(蕁麻疹、呼吸困難、口唇浮腫、喉頭浮腫等)等があらわれたとの報告があるので、問診を十分に行い、接種後は観察を十分に行うこと。 3.相互作用 (1)併用禁忌(併用しないこと) (2)併用注意(併用に注意すること) 1)輸血及びガンマグロブリン製剤との併用 本剤を輸血及びガンマグロブリン製剤の投与を受けた者に接種した場合、輸血及びガンマグロブリン製剤中に黄熱ウイルス抗体が含まれると、ワクチンウイルスが中和されて増殖の抑制が起こることがある。本剤接種前3か月以内に輸血又はガンマグロブリン製剤の投与を受けた者は、本剤の効果が得られないことがあるので、3か月以上過ぎるまで本剤の接種を延期すること。また、ガンマグロブリンの大量療法、すなわち川崎病、特発性血 小板減少性紫斑病(ITP)の治療において200mg/kg以上投与を受けた者は6か月以上過ぎるまで接種を延期すること。本剤接種後14日以内にガンマグロブリン製剤を投与した場合は、本剤の効果が得られないことがあるので、投与後3か月以上経過した後に本剤を再接種することが望ましい。 2)他の生ワクチン製剤との関係 他の生ワクチン(経口生ポリオワクチン、おたふくかぜワクチン、麻しんワクチン、風しんワクチン、水痘ワクチン、薬剤名等臨床症状・措置方法機序・危険因子免疫抑制下で本剤を接種すると、ワクチンウイルスの感染を増強あるいは持続させる可能性がある。 放射線療法あるいは免疫抑制的な作用を持つ薬剤の投与を受けている者、特に長期あるいは大量投与を受けている者、又は投与中止後6か月以内の者は免疫機能が低下していることがある。本生ワクチン接種により、右記機序で黄熱様症状があらわれるおそれがあるので接種しないこと。 放射線 副腎皮質ステロイド剤(プレドニゾロン等) 免疫抑制剤(シクロスポリン等) アルキル化剤(シクロフォスファミド等) 代謝拮抗剤(テガフール等) BCGワクチン等)の干渉作用により本剤のウイルスが増殖せず免疫が獲得できないおそれがあるので、他の生ワクチンの接種を受けた者は、通常、27日以上間隔を置いて本剤を接種すること。 **4.副反応(まれに:0.1%未満、ときに:0.1〜5%未満、副詞なし:5%以上又は頻度不明) (1)重大な副反応 1)ショック、アナフィラキシー様症状 ショック、アナフィラキシー様症状(蕁麻疹、喘息様症状、呼吸困難、血管浮腫等)があらわれることがあるので接種後は観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。 2)脳炎(Neurotropicdisease) まれに(20万人接種に1人程度1))脳炎が発現することがあるので、接種後は観察を十分に行い、異常が認められた場合は適切な処置を行うこと。 3)熱性多臓器不全(Viscerotropicdisease) まれに(40万人接種に1人程度2))接種2〜5日目に疲労、筋肉痛、頭痛を伴う発熱があらわれ、呼吸不全、肝機能障害、リンパ球減少、血小板減少、高ビリルビン血症、腎不全等の急速な進行を特徴とする多臓器不全を発現し、重大な転帰をたどることがある3)。接種後は観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な処置を行うこと。 4)ギラン・バレー症候群 ギラン・バレー症候群があらわれることがあるので、接種後は観察を十分に行い、異常を認めた場合には適切な処置を行うこと。 5)けいれん けいれんがあらわれることがあるので、症状があらわれた場合には適切な処置を行うこと。 (2)その他の副反応 1)過敏症 発疹、蕁麻疹、紅斑、そう痒感、喘息様症状等があらわれることがある。 2)全身症状 頭痛、発熱、筋肉痛、背部痛、関節痛、倦怠感等があらわれることがある。これらの症状は、通常5〜10日中に消失する。 3)消化器症状 下痢、悪心、嘔吐、腹部不快感等があらわれることがある。 4)局所症状 接種部位に発赤、紅斑、そう痒、浮腫、腫脹、疼痛、硬結等があらわれることがある。 5.高齢者への接種 一般に高齢者では生理機能が低下しているので、接種にあたっては予診等を慎重に行い、被接種者の健康状態を十分に観察すること。また、接種後10日間は慎重に健康状態を監視すること。 米国での報告(15歳以上の副反応例166症例の年齢層別分析)では、65〜74歳及び75歳以上の被接種者の重篤な副反応発現率は10万人あたり3.5人及び9.1人であり、これは25〜44歳の年齢層に比し、それぞれ12.3倍及び32倍であった4)。 6.妊婦、産婦、授乳婦等への接種 (1)妊娠又は妊娠している可能性のある婦人には接種しないことを原則とし、予防接種上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ接種すること〔妊娠中の接種に関する安全性は確立していない。また、17Dワクチンウイルスは経胎盤感染する可能性が示唆されている。5)〕 (2)授乳中の婦人には接種しないことが望ましい。なお、やむをえず接種する場合には授乳を避けさせること〔接種後の授乳による乳児への安全性は確立していない。〕 7.小児等への接種 脳炎発症の危険性が高いことから、9か月齢未満の乳児には接種しないこと。 1952年から1996年までの間に、全ての17Dワクチンで報告された接種後脳炎は21症例であり、うち16例が8か月齢未満、2例が3歳及び13歳であり、3例は成人であった1)。 8.接種時の注意 (1)接種時 1)接種用器具は、ガンマ線等により滅菌されたディスポーザブル品を用いる。 2)本剤の溶解に当っては、容器の栓及びその周囲をアルコールで消毒した後、日本薬局方生理食塩液(「黄熱ワクチン溶解液」など)3mL を注射筒で吸引し、ワクチンの入ったバイアルにゆっくり注入する。次いで1〜2分間静置後、静かに振り混ぜて均一の懸濁液を得る。懸濁液に気泡が生じるおそれがあるので激しく振り混ぜないこと。得られた均一の懸濁液0.5mL(1人量)を接種用の注射筒に吸引する。この操作にあたっては雑菌が迷入しないように注意すること。なお、溶解したワクチンは希釈しないこと。 3)ゴム栓への針刺は、ゴム栓面に垂直にゆっくり行うこと。斜めに刺すとゴム片がワクチンに混入する恐れがある。また、栓を取り外し、あるいは内容物を他の容器に移して使用してはならない。 4)接種の際、注射針の先端が血管内に入っていないことを確かめること。 5)注射針および注射筒は被接種者ごとに取り替えなければならない。 (2)接種部位 接種部位は、通常、上腕伸側とし、アルコールで消毒する。 【臨床成績】 本剤は、日本における評価を受けた臨床成績がないため、有効性及び安全性については米国の添付文書における記載を参考とした。 1.有効性 2001年に米国の9施設で実施された二重盲検比較試験において、本剤は18歳以上の725例に接種され、このうち312例を血清学的に評価したところ、99.3%において抗体獲得が認められた6)。 接種後の免疫の賦与に関しては、米国での報告では17D−204ワクチン臨床試験2試験において、被験者の90%が接種後10日以内に7)、100%が14日以内に抗体が獲得されている8)。また、日本での報告では接種後の抗体獲得率(抗YFV中和抗体)は7日目では0%、10日目では32%、14日目及び29日目では100%であった9)。免疫機能正常者において初回接種で免疫応答が得られなかったケースで、再接種により応答が示されたとの報告がある10)。 2.安全性 2001年に米国の9施設で実施された二重盲検比較試験(18歳以上725例対象)での安全性成績では、副作用発現率は71.9%であった。重篤例はなかった。最も多かった副作用は軽度から中等度の局所反応であったが、4例(0.6%)は重度局所反応と判定された。局所反応以外では発疹が3.2%、蕁麻疹が0.3%の発現率であった。また、軽度の頭痛、筋肉痛、倦怠感、喘息様症状等の全身反応が接種後数日間に10〜30%に認められた6)。 【薬効薬理】 黄熱は黄熱ウイルス(フラビウイルス)が蚊によって媒介され発症にいたる。本剤を接種した場合、野生型ウイルス感染と同等の免疫応答が誘導されるものと予測されている。本剤の免疫応答において重要な役割を担っているのはウイルス構造タンパクに対する液性免疫反応であり、あらかじめ本剤の接種により黄熱ウイルスに対する液性免疫が獲得されていると、感染したウイルスの増殖は抑制され発症は阻止される1)。 【取扱い上の注意】 1.接種前 溶解時に内容をよく調べ、異常な混濁、沈殿物、異物の混入、変色、その他の異常がないことを確認すること。 2.接種時 本剤は一度溶解したものは60分以内に使用すること、また溶解後は再凍結させないこと。60分を経過した未使用のワクチンおよび容器は適切に廃棄すること。 【包  装】 瓶入り 5人分 : 1バイアル 【主要文献】 1)MonathTP.Vaccines.3rdEdition,WBSaundersCompany, 815-879(1999) 2)ACIP.MMWR,51(RR17),1-10(2002) 3)MartinM,etal:Lancet,358,98-104(2001) 4)MartinM,etal:EmergInfectDis,7,945-951(2001) 5)TsaiTF,etal:JInfectDis,168,1520-1523(1993) 6)MonathTP,etal:AmJTropMedHyg,533-541(2002) 7)SmithburnKC,etal:AmJTropMedHyg,45,217(1945) 8)WissemanCL,etal:AmJTropMedHyg,11,550(1962) 9)多賀賢一郎 他:感染症学雑誌,76(9),738(2002) 10)Bonnevie-NielsenV,etal:ClinDiagLabImmunol,2,302- 306(1995) 【文献請求先・製品情報お問合せ先】 *サノフィパスツール第一三共ワクチン株式会社 安全管理部 〒134−8630東京都江戸川区北葛西一丁目16番13号 電話:03-5667-7130 【製造販売元】 *サノフィパスツール第一三共ワクチン株式会社 〒134−8630東京都江戸川区北葛西一丁目16番13号 【製造元】  サノフィパスツール社・アメリカ