西ナイルウイルス(WNV)感染 臨床家向け情報 
米国CDC
http://www.cdc.gov/ncidod/dvbid/westnile/resources/fact_sheet_clinician.htm

臨床症状:
軽症:
 ほとんどのWNV感染は軽微で、不顕性のこともある。
 ◎約20%の案戦車が軽微な症状を呈する(西ナイル熱、West Nile fever)
 ◎潜伏期間は、3日〜14日
 ◎症状持続は通常3〜6日
 いままでの流行での報告によると、症状は、「突然の発熱を来す疾患 (a febrile illness of sudden onset)」であり、しばしば以下の症状を伴う。
 倦怠感 食欲低下 悪心 嘔吐 頑痛 頭痛 筋肉痛 発疹 リンパ節腫脹
 米国では、完全な西ナイル熱の臨床症状は、まだ規定されていない。

重症:
 感染者約150例に1例の率で重症化する。
 ◎最も重要なリスクファクターは、高齢である。
 ◎脳炎が、髄膜炎よりも多い。

 近年の流行では、重症で病院に収容された患者の症状として、発熱、衰弱、胃腸症状、精神状態の異常がみられた。

 ◎重症患者の一部(a minority of patients)では、頚部、体感、両腕(arms)、あるいは両足(legs)に斑状丘疹あるいは麻疹状の発疹が見られた。
 ◎患者数例(several patients9では、重度の筋肉虚脱と弛緩性麻痺がみられた。
 ◎神経学的症状には、錐体外路症状、脳神経以上、脊髄炎、刺針敬遠、多発神経根炎、発作(seizures)がみられた。

 近年の流行では見られないが、過去には心膜炎、膵炎、劇症肝炎も報告された。

臨床的な疑い症状
 WNV感染の診断は、臨床的に疑い、特異的な検査を行うことにより基づいている。
 ◎夏、あるいは初秋のに、原因不明の脳炎や髄膜炎を発症する50歳以上の患者は、WNV、あるいはセントルイス脳炎などのアルボウイルス感染症を強く疑う。
 ◎動物でのWNV活動や人での感染例の起きている場所では疑いが高まる。
 ◎最近の旅行歴も重要である。
注:WNV感染による重篤な神経学的疾患は、全年齢層で見られる。一部の地域では一年中感染が起きうる。従って、WNVは、原因不明の脳炎・髄膜炎を示す全患者を疑うべきである。

診断と報告:
 州毎に異なるので、州に問い合わせること。

検査
 脳炎または髄膜炎の患者のWNV検査は、地方あるいは州の保健局を通して行う。
 ◎最も効果的な診断法は、8病日以内の血清または脳脊髄液を、MAC-ELISA法によるIgM抗体検出である。
 ◎IgM抗体は血液脳関門を通過しないので、CSFのIgM抗体はCNS感染を強く疑う。
 ◎最近、黄熱、野本の迂遠、デングなどのフラビウイルスのワクチン接種または感染した患者は、WNV MAC-ELISA 法では偽陽性が出る場合がある。

WNV感染疑い報告
 ◎WNV脳炎は、アルボウイルス脳炎の国への届け出リストに加わった。
 ◎無菌性髄膜炎は、一部の管区では届け出可能である。
 急性のWNVや他のアルボウイルス感染患者のタイムリーな同定は、公衆衛生的対応上重要な意味をもち、人への感染拡大を予防するための公衆衛生対応の強化につながりうる。

検査所見
 近年の流行での患者では、
 ◎末梢血の白血球は、ほとんどが正常、あるいは上焦。リンパ球減少、貧血が起きうる。
 ◎一部に、低ナトリウム血症がみられる。特に脳炎でみられる。
 ◎CSFは、リンパ球主体の細胞増加が見られる。
 ◎蛋白は上昇。(CSF)
 ◎糖濃度は正常。(CSF)
 ◎脳CTでは急性疾患の所見が見られないが、3分の1の患者にはMRIで軟膜か脳室周囲、あるいは両方のエンハンスメントが見られる。

治療
 保存的治療を行う。
 重症例では、入院、輸液、人工呼吸、二次感染予防処置が行われる。
 
 ◎高濃度リバビリン(Ribavirin in high doses)とインターフェロンα-2bがインビトロで一部効果が見られたが、これらの薬剤や他のステロイド、antiseizure、浸透圧利尿剤の
WNV脳炎に対する症例対象研究は終了していない。